2005年月号(通巻第682号)
特集 総合学習で育つ知恵とちから──低学力論争を斬る

最新号表紙

表紙絵/山野ひろこ(横浜市・小学校3年)
「ブレーメンのおんがくたい」
(指導/今給黎博子)

特集の主旨

 伝達型の教科教育への批判から登場した「総合的な学習の時間」は、生きる力を強調した。しかし、低学力をまねいたと批判が集中すると文科省は、3年も経たぬうちに見直しを宣言した。くるくる変わる政策に現場では戸惑いと怒りが増幅している。
 この時間の登場によって、そえまでがんじがらめだった学習指導要領の拘束力に一部ではあるが風穴があいたのは事実だ。この点を後退させることなく、教育課程全体のバランスをととのえ直す方向と生き方を問う本物の総合学習のあり方を模索する議論を求めたい。

もくじ

グラビア/総合学習で育つ知恵とちから 和田 仁・玉寄美津枝・小崎真紀子

おや・おや 勝田まり子どもの安全

表紙の絵 指導/今給黎博子

私もひとこと 金馬国晴生活科の「自分」中心は〈対象〉認識あってこそ

連載/いま、改めて教育基本法を読む/第六回 田村真広
住民のボランタリズムを支える社会教育行政へ──教育基本法第7条

連載/スクランブル*母として女優として人として/第24回 風吹ジュン

新連載/教育してます?/その6 内田春菊

新連載「宮沢賢治の四季」/第六回 三上 満
九月──最上の土舞台で賢治を生きた人・松田甚次郎

特集/実践1 和田 仁子どもの中で広がる総合学習
──6年生「在校生に残す一冊本」の取り組みから

特集/実践2 本山 明
ともに考え表現する学びを

特集/実践3 北川 茂クマ騒動を追って

実践4 玉寄美津枝
人と関わり、科学的な視点を育てる環境教育

実践5 小崎真紀子“荒れる”竜二の気持ちが動く総合学習を
──見て聞いて触って 環境問題を学ぶ

論文1 船越 勝
ゆとり教育見直し政策の問題点と本物の総合学習の必要性と価値

論文2 行田稔彦総合学習の学習論──学びのつながりとひろがり

北から南から/教育・サークル情報 休載

実感のある学びをつくる授業 休載

研究部/子どもとともにつくる生活教育の実践 早野宏樹
「羊の国」からの脱却──20ヶ月のニュージーランド生活で分かったこと分からなかったこと
研究部コメント
滝田裕幸

今月のうた 川崎正美/『長さの歌』
みてきいてよんで
山田隆幸/『子どもが見えてくる実践の記録』
子どもの本棚
本谷宇一/『ルラルさんのバイオリン』
事務局だより
次号紹介・編集後記


編集後記

 文科省の迷走を斬る特集「総合学習で育つ知恵とちから」にふさわしい、日生連ならではの論考と実践が結実した重量感あふれる9月号を世に送り出すことができました。
 編集委員の一人として喜びもひとしおです。日生連の総力を発揮した特集にご執筆いただいた方々に深く感謝いたします。

 学力には多様な側面があるのに、量的側面のみを見る日本型学力と、そこから脱しきれない「総合的な学習の時間」の学校知と制度知の問題点をすっきり解明された船越論文は圧巻でした。さらに「学力の社会性」というわかりやすい概念を示しながら本物の総合学習を切り口とした授業改革の方向(学びのリアリティや当事者性など)が今こそ求められていると訴え、日生連の今とこれからに勇気と自信を与えていただきました。

 論文2の行田先生も、学力は量でなく質こそ問われるべきだとし、『生活教育』誌上で展開された「実感ある学びをつくる」連載を紹介分析しながら、これらが人・モノ・コトがつながり広がる子どもと共につくる学びであることを包括し、今後一層深化・発展させる展望を示していただきました。

 5人の方々の実践も、学ぶことの意味を地域の人々やできごとを窓口に、学びの社会性、リアリティ、当事者性という深部に迫って輝いていました。

 9月から新学期がスタートします。『生活教育』9月号を読んで広めると、元気が出てくること間違いなしです。

(K)